新事業、新商品に繋げる発想法

<新事業、新商品開発の視点>
新事業や新商品に繋げるニーズをどのように発掘するか」これは大切なテーマである。企業の想い込みで開発しても顧客にとって魅力が無いとまったく売れないからだ。
 
ではどうすれば良いか? 我々は、顧客の不満アプローチという手法を推奨している。つまり、顧客が抱えている不満を解決する新事業や新商品を開発するという思考法だ。この思考法のメリットは、顧客視点で開発を行うので、成功確率が高い点だ。
 
ただし、不満を探すと言っても漠然と考えても難しい。そこで、顧客の購買の流れに沿って、不満となる事項を考えることが有効となる。
 
<顧客視点で、不満を把握>
購買の流れとは、顧客が「購入する段階の不満」「使用している段階の不満」「使用後の不満」という3つの段階のことである。
 
それぞれの段階でどのような不満があるか明らかにしていくのだ。 実際の事例で説明したい。
 
<飽和するフィットネス市場で成長するライザップ>
フィットネスの国内市場は、約4000億円の規模で飽和状態にある。そのような中、急成長を遂げているのが、インパクトのあるCMで有名なRIZAP( RIZAP株式会社 平成22年法人設立)だ。2015年3月期の売上高は、107億円で前年度比で110.6%の伸び率である。※2016年日経MJトレンド情報源より
 
このライザップという新しい事業は、顧客視点でどのような不満を解消しているか考えてみたい。
 
<従来のフィットネスに通う人の不満は?>
フィットネスに通う人はどのような不満を抱えているのか?例えば、購入段階の不満では、「短期間で健康的に痩せるメニューを提示しているところがすくない」というものである。私もフィットネスに通っていたことがあるが、1年間の会員制度でゆっくりと健康な身体を手に入れるというコンセプトであった。健康的に短期間で痩せたいと思ったものである。
 
使用段階では、「ジムに通っても続かない」という不満を良く聞く。入会直後は、熱心にジムに通っても中々自分を律することができず、トレーニングを断念する例が多いものである。実際、私の知人たちもそのような方が多かった。
 
購入後の段階では、「痩せたのにリバウンドした」という声である。無理なトレーニングや食事制限で一時的に痩せても維持することが難しいからである。
 
ここまで、私の経験を交えてフィットネスに通う方が、どのような不満を抱いているか考えてみたが、これら不満に対応した新事業がライザップといえる。
 
<購入段階の不満に対応する新サービス>
購入段階での「短期間で健康的に痩せるメニューを提示しているところがすくない」という不満に対し、「2か月でこの身体」という結果にコミットするトレーニングメニューを明確に提示している。
 
<使用段階に対応する新サービス>
使用段階での「ジムに通っても続かない」という不満に対し、完全個室のプライベートレッスンと日々の食事指導などのサポートを通じて、入会者の脱落を防ぐ工夫をしている。
 
<使用後の段階の不満に対応する新サービス>
使用後の段階での「痩せたのにリバウンドした 」という不満に対し、食事マネジメントという太りにくい食事の知識を指導することで、リバウンドしにくい身体づくりを指導している。
 
ライザップは、インパクトのあるCMに目が奪われがちであるが、これら、顧客の購入段階、使用段階、使用後に発生する「顧客の不満」を明らかにし、それに対応する新サービスを開発しているのである。
 
<不満への対応力を高めるために>
そして、これら3つの段階の不満への対応力を高めるために、事故率ゼロを目指し、医学博士や管理栄養士の監修のもとライザップオリジナルメソッドに磨きをかけている。また、3.2%(2015年4月~6月実績 ※ライザップHPより)という厳しい基準でトレーナーを採用し、育成プログラムによってスーパートレーナーになるまで育てている。さらに会員の食事管理や毎日のアドバイスなどを容易に行えるライザップタッチというアプリを開発し、顧客接点を深めているのだ。
 
つまり、顧客の不満解消に向けて、日々新しい対応策を練っているのである。※ライザップホームページから http://www.rizap.jp/concept/
 
このように新事業、新商品に繋げるニーズは、お客様の購入段階、使用段階、使用後の段階の視点で把握することが有効である。皆様もお客様の不満に即した形で新商品・サービスが無いか?検討していただきたい。