お客様は浮気者!?

私は、アマゾンで書籍を購入することが度々ある。「私は何を買っているか?」当然、書籍を買っているのだが、書籍を買うのであれば、他の本屋でもいいことだ。

では、なぜ、私はアマゾンで書籍を買っているか?それは、「書籍を購入する手間を省きたい」または、「必要な書籍をすぐに手に入れたい」からだ。さらに言えば、手間を省いたり、必要な書籍をすぐに手に入れたりすることで、報告書の作成などの仕事のスピードを高めたいという欲求を満たすためにアマゾンを使っているのである。

この商品・サービスを通じて、得られるお客さまにとっての価値のことを顧客価値という。私は、この価値を得るためにアマゾンを度々利用しているのである。

では、私は、アマゾンしか利用しないか?
そんなことはない。私は、大の本好きで、よく本屋さんに足を運ぶ。特にジュンク堂を利用することが多いのだが、同店では机や椅子が用意されていて、贅沢に複数の本を机に運んで読みながら選ぶことができる。私は、この書店を自分専用の書庫のように贅沢に使える点が気に入っている。つまり、ゆっくりと本を読んで至福の時間を得たいモードのときにジュンク堂を利用しているのだ。

つまり、私という一人の人間でもアマゾンを利用するときもあれば、ジュンク堂を利用する場合もあるわけだ。それはなぜか?
それは、『書店の利用目的』が違うからである。仕事で必要なものなどを短時間で探したいのときはアマゾンを利用し、プライベートで本を楽しむ目的のときはジュンク堂を利用しているのだ。
同じ人間でも利用目的によって、購入する場所が変わるのである。しかし、選ばれる側のアマゾンやジュンク堂は、似通った利用目的の時に顧客に使われるのだ。 ターゲットは、40代の男性などという人に依存するのではなく、その方の利用目的に依存するのである。ジュンク堂はその点を理解しているので、アマゾンでは提供できない図書館以上の心地よさを提供するための机、椅子、カフェスペース、各種イベントの開催をしているのである。このような利用目的の方は、うちを利用してくださいね!という意思表示なのである。

「お客さんって本当に浮気者だな」と思う前にあなたのお客様はどのような目的でお店を利用しているか?またあなたのお店の競合店は、どのような目的で利用されているか?じっくりと考えていただきたい。きっとやるべきマーケティング施策が見えてくるはずである。