中小企業が大企業と同じ戦い方をしても勝ちにくい。なぜなら、ヒト、モノ、カネ、ノウハウなど投入できる経営資源の量が劣るからだ。では、どのような戦い方をすれば良いのか?その戦い方の一つの方法が「限られた市場で戦う」というものだ。
市場を限定するということは、大企業にとって売上高の低下に繋がるという「マイナスの思考」が働き、絞りにくい。その弱点を突くのが中小企業の戦い方のポイントなのである。
では、その限られた市場とは何か?それは「限られた商品」「限られた地域」「限れれた顧客(業界)」「限られた販路」などである。
以下では、顧客(業界)の絞り込みを行い成功している企業の事例を見てみよう。
広島県に消防署向けの通販カタログを展開し、業績を伸ばしている株式会社シグナルOSという会社がある。同社が扱っているものは、消防隊員が使用するヘルメットや手袋、ウェアなどである。地域名と消防署の団体名などを組み合わせたカスタマイズウェアは「消防隊員の団結力を高める」という点が評価され、人気商品となっている。
同社は、対象とする市場を消防士の顧客(業界)に絞って事業展開をすることで、この分野においては「品揃えの豊富さ」や「サイト内での選びやすさ」などで顧客に認知され、価値のあるサイトになっているのである。
つまり、限られた市場で、お客様の要望に徹底的に応えることで、支持を得ているのである。大企業は、市場の規模が小さい場合、そのような市場を軽視する。そこに中小企業にとってのチャンスがあるのである。
当然、いたずらに顧客を絞れば良いわけでない。顧客から一定以上の要望があり、自社の強みが活きるか否かを考慮した上で、絞るべき顧客を決定する必要がある。前述の株式会社シグナルOSも、創業当初は対象となる顧客層を絞ることなく、Tシャツの販売を行っていた。しかし、消防隊員のTシャツやウェアなどの注文が一定以上あることに気づき、そこに自社の強みが合致すると判断して対象顧客を絞り込んだのである。
「大企業が軽視する市場でも、自社にとって魅力的な市場は無いか?」という視点が大事なのである。
顧客(業界)を絞りことで「○○といえばあの会社だよね」とお客様に選んでもらえるのである。あなたの会社は、顧客(業界)の絞り込みで一番になれる工夫をしていますか?この視点で事業を見直してみましょう!